少年がキュートで良い映画だった。
配信サービスで視聴可能(2022年9月更新)
映画『ベルファスト』
激動の時代、ケネス・ブラナーの幼少期を投影した自伝的作品。
監督の故郷や家族への想いが感じられる、ほっこりほろ苦いストーリー。
1969年、激動の北アイルランド ベルファスト。
僕が生まれ育ったその町には、歌があった、映画があった、家族がいた――
そして、愛に輝く日々があった。ベルファストで生まれ育ったバディ(ジュード・ヒル)は家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごす9歳の少年。
『ベルファスト』 オフィシャルサイト
たくさんの笑顔と愛に包まれる日常は彼にとって完璧な世界だった。
しかし、1969年8月15日、バディの穏やかな世界は突然の暴動により悪夢へと変わってしまう。
プロテスタントの暴徒が、街のカトリック住民への攻撃を始めたのだ。
住民すべてが顔なじみで、まるで一つの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断されていく。
暴力と隣り合わせの日々のなか、バディと家族たちは故郷を離れるか否かの決断に迫られる――。
原題:Belfast
監督/脚本/制作:ケネス・ブラナー
製作国:アイルランド、イギリス
言語:英語
長さ:98分
見どころ
1969年北アイルランドのベルファストが映画の舞台。
すごい時代だなぁと思いつつ、無邪気な少年と家族愛が微笑ましい。
時代背景とモノクロ映画ということで暗い映画を想像していたが、想像と違っていた。
街でプロテスタントの暴徒がカトリック住民へ攻撃する光景はなかなか衝撃ですが、逆にモノクロで淡々と描き、家族愛はごきげんな音楽と共にキュートに描かれていて良かった。
ノスタルジックで力強いモノクロ映像が描き出すのは、ある少年とその家族の厳しくも愛に満ちた永遠の記憶だ。
『ベルファスト』オフィシャルサイト
抗うことのできない時代の変化に戸惑い葛藤しながらも、一方で、決してうつ向くことなく、笑顔とユーモアで未来へ一歩踏み出すタフな人々の姿は、コロナ禍で様変わりした世界を生きる現代のわたしたちにも強い共感をもたらすに違いない。
変わりゆく故郷、移り行く時代を前に、何があろうとも決して変わることのない人間の気高さと生命力をパワフルに魅せる傑作がここに誕生した。
時代背景
この映画の時代背景を理解しておきたい。
この映画が描く1960年代末は、いわゆる「北アイルランド紛争」(英語で “the Troubles”)へ突入していった時代だった。
プロテスタントとカトリックが反目し、1998年の和平合意に至るまでに3600人近い死者を出した。カトリックvsプロテスタントという対立の根は16世紀の宗教改革にある。
キリスト教の最大教派ローマ・カトリック教会に対して反旗が翻され、そうした対抗諸宗派はまとめて「プロテスタント」と呼ばれた。
イングランドは、国王ヘンリー8世の離婚問題をきっかけにローマ・カトリックから離反する。
国の勢力を拡大していく過程でイングランドは隣のアイルランド島への植民に力を入れ、プロテスタント植民者が土着のカトリックから土地を奪うという構造ができあがっていった。
17世紀末にはプロテスタント優位体制が確立、1801年にアイルランドはグレートブリテン王国に併合される。
アイルランドの自治復権を目指すその後の長い闘争は、20世紀になってようやく実ることになる。血みどろの独立戦争の末、1921年にイギリスとアイルランドは条約を締結、プロテスタントが多数派のアイルランド島北部6州が「北アイルランド」としてイギリス領に残り、島の残りは「アイルランド自由国」として自治を獲得、実質的独立を果たした。
1960年代、米国の公民権運動に影響され、北アイルランドではカトリックに対する差別撤廃を求める運動が盛り上がる。
この運動には少なからぬプロテスタントの人々も賛同していたが、デモ行進などはプロテスタントによる過剰反応を呼び、双方の対立は暴力化していった。
人々は、「カトリック」対「プロテスタント」というレッテル、または「ナショナリスト」(アイルランド全島で一つの国家【ネイション】となることを目指す)対「ユニオニスト」(北アイルランドがブリテンと連合【ユニオン】している現状を維持する)というレッテルを貼られて二分されたのである。――解説:佐藤泰人(東洋大学准教授・日本アイルランド協会理事)
『ベルファスト』オフィシャルサイト
まとめ
ケネス・ブラナー監督の故郷への想いが感じられる素敵な作品です。
ケネス・ブラナー監督の作品『ナイル殺人事件』では製作・監督・主演をされています
映像が綺麗でなかなか良かったです
本ページの情報は2022年9月時点のものです。最新情報は各サイトにてご確認ください。
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